カラヤン vs 歌手たち [関わりのあった人々]
2003年発行の伝記から引用の続きです。
「カラヤンは、気に入った歌手たちとはすばらしい共同作業をした。準備ができていなかったり、プロらしからぬところが見られたりした場合は別だった。そんな場合は猛烈に不快きわまりないといったふうに振る舞うことがあった。物凄い影響力を持っていた。あの小さな、ほっそりした男が公演ともなると、巨人になった。
しかしまた彼の冷たい態度が不安を引き起こしたようにも思われる。文字どおり蛇が一睨みで金縛りにしながら、それを楽しんでいるといった具合に、じっと見られて、声が出なくなった女声歌手が何人もいた。だから、彼は自分の後ろに歌手を立たせて、ベルリン・フィルに紹介したものだった。彼が特に好んで一緒に仕事をし、人間的にも気に入っていたソリストたちとは、気楽に親しくつきあった。」(ペーター・ホフマン)
伝記からカラヤンとのエピソードをもう一つ
......カラヤンに「あなたは何故うわべを装うのですか」と質問されたことがあった。私は率直に「こういうふうにうわべを装わなかったら、あまりにも傷つきやすいのです。だれでも傷つくのは好きじゃないでしょう」と言った。カラヤンは答えずに、笑っていたが、よくわかるよという顔をしていた。私の言わんとしたことがわかっていた。おそらく自分自身でもちょっとは気がついていたのだろう。そう、彼は同じことをしている。彼は、私がそれを知っているかどうか、知りたかっただけだと思う。あぶなくなれば、皆がそのように反応し、防御し、自分自身にカギをかける。私が、何も自分に手を触れさせたくないというふうに気持ちを切り替えたのを、彼は感じたのだった。......(ペーター・ホフマン)







>あなたは何故うわべを装うのですか
強力な質問ですね。う~ん、そう訊かれたら答えられるでしょうか。でもうわべを装わない人っているのかどうか・・・?
ベルリン・フィルとの軋轢もあって、カラヤンが一気に老け込んだことと、ホフマンにパーキンソンの兆候が出始めたことと、もし両者にそれぞれこの不幸な出来事が起きてなかったらと考えると・・・
ジェシー・ノーマンとの企画があがった「トリスタン」全曲上演にホフマンが起用された可能性は限りなく大きいですよね。コロはカラヤンのもとを去っていたわけだし。失ったものは大きいと言うか。
by TARO (2005-07-04 10:32)
>じっと見られて、声が出なくなった女声歌手が何人もいた
男声歌手もいたことでしょうね。およそ彼の録音では彼が帝王なので、一緒に仕事をしたい人はいても、出来上がった録音に満足していない歌手もいたのでは? とつねづね思っていたのです。舞台は一過性のものですから大丈夫でしょうが。
お話、読ませていただくとホフマンは素晴らしい魅力を持っていたことがわかります。きっと容姿以外に、人間的にも。カラヤンに気に入られるくらいですものね。
by わびすけ (2005-07-05 11:51)
TAROさん
>もし両者にそれぞれこの不幸な出来事が起きてなかったらと考えると・・・
ほんとに、どうしようもないことですが、残念なことです.......
>>あなたは何故うわべを装うのですか
凄い質問ですよね。こんなこときかれたら、困ってしまいます。
流行?の「圧迫面接」の質問にいいかも..........
すらっと(かどうかわかりませんが)こたえちゃうホフマンもホフマン......と、内心、ちょっとあきれるやら、感心するやら.....でした。
by euridice (2005-07-05 17:19)
わびすけさん
お互い、相手に合わせたりはしないだろうと感じます。だから、
気が合えば合うんでしょうねぇ............. 2冊の伝記を読むと
非常に強烈な個性を感じます。
by euridice (2005-07-05 17:24)