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ワーグナー「ワルキューレ」バイエルン国立歌劇場1989年 [オペラ映像]

1989年、NHKがハイビジョンで録画してきたという、ニコラウス・レーンホフ演出、ヴォルフガング・サヴァリシュ指揮、ミュンヘン、バイエルン国立歌劇場、ワーグナー「ニーベルングの指環」公演。「ワルキューレ」だけは二つ目の映像でした。落雷のせいで録画できず、シェロー演出のレーザーディスクを先に見ることになりました。その後、再放送がありました。あらすじなど、こちら、Orfeoさんのオペラ・レヴューをご参照ください。

この公演のジークムントはヴァルター・ラファイナー(アバド指揮、ウィーン1987年のヴォツェックで鼓手長の大柄なテノール)だったのだそうですが、不調で、映像収録は、ロベルト・シュンクに変わったのだとか。ペーター・ホフマンは、この公演には関係がないようですが、レーンホフ演出ではサンフランシスコの「ワルキューレ」に1983年と1985年に出演しています。このプロダクションのジークフリートもルネ・コロ、ブリュンヒルデはギネス・ジョーンズでした。舞台写真などを見る限り、このミュンヘンの公演とは全く違う演出です。ペーター・ホフマン、ミュンヘンには前のレンネルト演出に何回か出演したようです。

シェローは「ジークムントの死の残酷さを測り知れないほど効果的なものにするには、彼をできるだけ感じ良く見せるべきだ」という考えで、「ジークムントをできるだけ感じよく見せる」ことを意図していたということですが、このレーンホフは、そうではなかったようです。当時は「演出意図」については知りませんでしたから、粗暴なジークムントに驚かせられました。例えば、机に腰掛けるのはシェローにもありますが、足をぶらぶらさせるとか、印象が大違い。そして、いきなり椅子をひっくりかえす.....「ジークムントをできるだけ感じ悪く見せる」つもりはなかったかもしれませんが、少なくとも「できるだけ感じよく見せよう」という意図は全然なかったのでしょう。「感じよくない」ジークムントの場合、同情心がわかず、物語全体の悲劇性が弱まるように思います。

フンディングの扱いも演出によってずいぶん違う印象です。シェローの場合、かなり好意的に描かれているように感じます。妻に愛されない夫の悲哀のようなものが伝わってくるというか・・・ 対して、クプファーもですが、これも、冷酷な亭主関白的暴君振りが強調されていると思います。そして、どちらのジークリンデも生活に疲れ、老けています。でも、このフンディングはある意味紳士的というか几帳面。ちなみに、ドアにカギをきっちりかけ、ジークムントのひっくりかえした椅子を元に戻し、ローソクを消す...... 細かくうるさい支配的亭主の典型かしら・・・

ワーグナー:ワルキューレ
ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮
ニコラウス・レーンホフ 演出

ブリュンヒルデ:ヒルデガルト・ベーレンス
ジークリンデ:ユリア・ヴァラディ
フリッカ:マリヤナ・リポヴシェク
ヴォータン:ロバート・ヘイル
ジークムント:ロベルト・シュンク
フンディング:クルト・モル


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コメント 11

Orfeo

edcさん、こんばんは。毎度TB&リンク、ありがとうございます。
うん、たしかに粗暴なジークムントってのは嫌ですね^^;;
私的には、ベーレンスのブリュンヒルデを生で聴きたかったなあ、という感じです。
TB返しさせていただきました。
by Orfeo (2006-09-08 21:01) 

たか

ジークムントは本当はラファイナーでしたっけ。ゴールドベルクだったかと思っていました。調子があまりにひどかったので収録したテープをボツにして89年の12月に入ってからロベルト・シュンクで1幕と2幕の一部だけを急遽撮り直したそうですね。ですのでシュンクがこの時の演出の意図を十分理解していたのかどうかはよく分かりません。ヘイルのウオータンを初め音楽的にはなかなかだと思います。
by たか (2006-09-08 23:30) 

TARO

ちょうどこの収録が行われた時期に、私もドイツに行っていて、在独の友人から電話で聞いたんですが、「テノールがとても映像収録に耐えるレベルではないので、急遽シェンクを呼んだらしい」というのはかなり話題になってたようです。ラファイナーだったんですか。
このレーンホフのシリーズはあまり好きではありませんが、ヴァラディのジークリンデを映像で残すという意味だけでも、存在価値はありかなと。もっともベルリンのフリードリヒ演出の方が、ヴァラディには向いてたとは思うのですが。
by TARO (2006-09-09 14:16) 

euridice

Orfeoさん、こちらこそ^^です。
以前、ガラコンサートでベーレンスに会えると楽しみにしていましたが、病気で来日キャンセル。とっても残念でした。
by euridice (2006-09-10 08:11) 

euridice

たかさん、TAROさん
>ラファイナー
情報源を思い出せない.... いい加減な情報ですから、間違っていないとは言えませんm(_ _)m

>ゴールドベルク
1983年バイロイトのジークフリート、ショルティもずいぶん頑張ったけど、リハーサルで降りちゃったという話、あちこちで読みました。とっても繊細な神経の持ち主だとか・・・

>ヴァラディのジークリンデ
>ベルリンのフリードリヒ演出の方が、ヴァラディには向いてたとは思う
メーキング映像を見て、あまりの雰囲気の違いにびっくりしました。ミュンヘンのしか知らなかったときは、なんて魅力がない!と思っていました。それが、とっても可愛いんですもの・・・
by euridice (2006-09-10 08:21) 

あるべりっひ

euridice さん こんばんは。

実はこの『リング』LD全曲を小遣いの何ヶ月分を使い購入しましたが、『ラインの黄金』を見た後他はまったく手付かずです。続きを見る気がしなくなってしまいました。もったいない話です。いまだに未開封です。シェロー・インパクトもありますが。
ワーグナーファン失格でしょうかネ。いつかは全曲を見ようとは思っておりますが、それまで私のLDプレーヤーが動いているかも疑問です。
by あるべりっひ (2006-09-10 21:38) 

たか

>メトの横綱相撲
私もメトのビデオと比較したらこのビデオの方が数段好きです。普通よりインテリっぽいローゲも好きです。でも、メイキングビデオに触れられていたと記憶しているのですが、このビデオは87年のプレミエの時と少し手が加えられていて政治的なメッセージが弱められているようです。ややコンセプトが伝わりにくい部分があるとすればそのせいかもしれません。期せずして89年11月にベルリンの壁が崩壊したことと現代におけるワーグナー演奏の意味を考え合わせなければいけないのでしょうが、われわれ日本人にはそれはなかなか難しいことです。
それとプレミエ時にはリゲンツアがブリュンヒルデだったのにベーレンスに代わってしまったのが残念です。
by たか (2006-09-11 01:35) 

euridice

あるべりっひさん
>LD
レーザーディスクで、ですか。レーザーディスクが登場したときは、本当に夢のような気がしました。おかげでそこそこの価格でオペラが観られるようになったと思います。でも、あっという間に消える運命だったとは..... プレーヤーが動いているうちになんとかなさったほうがいいですね。あんまりおもしろくないとしても、もったいないですもの・・・
by euridice (2006-09-11 06:40) 

euridice

たかさん
>政治的なメッセージが弱められている
そうなんですか。だから、中途半端な印象なのかもしれませんね。
たとえば、ベルリンの壁を思わせる舞台装置が登場しても、あ、そう以上のものではないような・・・

>リゲンツア
フリードリヒのメイキングのブリュンヒルデは魅力的で、全部見たいと思います。他にはテレビ用オペラ映画でしかオペラ全曲を観たことがありませんが、こちらは、お芝居的にはあまりいいとは思いません。歌と声の面では、リゲンツァもベーレンスも好きです。外見的にもどちらもそれぞれ魅力的で、演技的にも観た映像に限って言えば、あのメイキングは別として、同じようなものかしらと思います。でも、メトの映像のブリュンヒルデもベーレンスですから、この映像がリゲンツァだったほうが鑑賞者としてはよかったかも...ですね^^;
by euridice (2006-09-11 06:59) 

たか

>政治的なメッセージが弱められている
DVDの解説書によるとサバリッシュの意向によるものだったようです。

>リゲンツア
87年のプレミエ公演のFM放送を録音しておけば良かったとつくづく後悔しています。録画する予定とすでに伝えられたのでてっきり同じキャストかと.....
この人は実力者だったのに本当に録音に恵まれなかった人で、本来ならクライバーのトリスタンもカラヤンのオランダ人もリゲンツアが歌うべきだったのに....
結局正規録音はヨッフムのマイスタージンガーぐらいです。テレビ用オペラ映画ってベームのエレクトラのことですか?これもフリードリヒの演出でしたね。
by たか (2006-09-11 23:19) 

euridice

>87年のプレミエ公演のFM放送
があったんですか。それは残念なことをしましたね!
どこかに出てこないかしら?

>テレビ用オペラ映画..... エレクトラのことですか?
もうひとつ「さまよえるオランダ人」を見ました。

サヴァリシュ指揮、ヴェーツラフ・カスリック演出  
バイエルン国立歌劇場1975 オペラ映画 
オランダ人:ドナルド・マッキンタイヤー

>テレビ用オペラ映画でしかオペラ全曲を観たことがありません
そういえば、舞台映像も二つ観てました。シュツットガルトの魔弾の射手と、ミュンヘンのローエングリン。
前者は身体の動きを指定された演出で歌手はほとんどマリオネットの操り人形化していたし、後者は非正規映像でぼけぼけだったから、演技的なことはどうこう言えない感じです。
by euridice (2006-09-12 08:14) 

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『ワルキューレ』(バイエルン州立歌劇場)(orfeo.blog 2006-09-08 20:32)

DVDライブラリーより。 ストーリーはこちらを参照。 この映像が収録された時期はちょうどベルリンの壁が崩壊したときにあたりますが、この舞台でもそのベルリンの壁らしきものが登場してきます(・・・崩壊は

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