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ヴェルディ「ドン・カルロ」新国立劇場 [劇場通い]

芸術の秋開幕は今年もオペラが二つ立て続けになってしまいました。フィレンツェの来日ファルスタッフに続いて、第二弾は新国立劇場シーズン開幕公演、新演出の「ドン・カルロ」

2001年12月に観たのはヴィスコンティ原演出のいわゆる豪華絢爛歴史絵巻でした。当時はダブルキャストでしたから、リンクした写真とは歌手が一部違いました。佐野氏のドン・カルロはちょっと・・でしたけど、妻屋氏のフィリッポに惚れて、藤原歌劇団の「カプレーティ家とモンティッキ家」に行ったものです。ところが佐野氏のテバルトも素敵でうれしかったです。デヴィーアとガナッシは最高で、とても美しい舞台でした。「ドン・カルロ」に戻ると、パオレッタ・マッロークのエリザベッタも美しく、エボリ公女の藤村実穂子さんの登場は印象的。ロドリゴのブルゾンは、さすがの存在感で全体の芯になっていたように感じました。それにもかかわらず、私にとっての最高の感動とはいきませんでした。

要するに、私にとってこのオペラはまだしっくりこないもののひとつです。まとまったものとして迫ってこないもどかしさがあります。道ならぬ恋とフランドル問題の絡ませ方にすとんと納得とはいかない感じ・・・。今回も観ながらその辺はやっぱりもやもや感がありました。

それはともかく、今回の新演出「ドン・カルロ」も良い上演でした。何もないと言っていいほどの簡素なよく動く舞台装置は観る者を飽きさせないようでした。配役に違和感のある人がおらず、すっきりした舞台に、立ち姿も動きも美しくはまっていました。変に凝らない単純明快な衣装も美しく似合っていました。歌や演技、音楽との一致など、映像で視聴していたものに比べれば、多少のもたつき感があったり、長い歌になると、ちょっとうんざりしてきたりはしました。でも、それも短時間で次に行けばまた気分回復というところで、全体的には退屈しなかった。

このオペラ、映像でも何が起こったのかわからない部分が何カ所かあることが多いのですが、今回の演出は、その辺りがずいぶんよくわかりました。火刑の場も適度の衝撃と気持ち悪さがほどよかったかもしれません。火刑の薪を民衆のひとりひとりに一束ずつ運ばせる、王妃までもがそれを強制されるという演出は効果的でした。好むと好まざるとにかかわらず、否応なく権力に屈服させられる人間の弱さを良く表現しています。フランドルの使者たちの存在もしっかりと示されました。

けっこう唐突感のあるエボリ公女の心の動きもわかりやすかったです。美貌を呪いつつ、顔を傷つけ、カルロを助けようと民衆と一緒に牢獄に押し掛けたときには黒い眼帯をつけています。そして共に駆けつけたエリザベッタと抱き合う姿は印象的です。

また教会権力と世俗権力の関係もよくわかる演出でした。

ヴェルディ:ドン・カルロ
ミゲル・ゴメス=マルティネス指揮
東京フィルハーモニー交響楽団
マルコ・アルトゥーロ・マレッリ演出
新国立劇場2006年9月

フィリッポ二世:ヴィタリ・コワリョフ
威圧的で堂々として王様らしかったです。冷酷な支配者の側面が強調されていたと思います。有名なアリアにはじまる場面では、ふと見せる人間性と弱さを効果的に感じさせました。

ドン・カルロ:ミロスラフ・ドヴォルスキー
オペラ映像見始めのころ、メラニー・ホリデーとの「愛の妙薬」(テレビ用映像1984年制作ということは、M.ドヴォルスキー24歳)を観ました。全然おもしろくなくて、とっても退屈したのを覚えてます。あの時の雰囲気というのが未だにある感じですね。すらりと長身で、声も大きいし、どこといって悪くないんですが、惹き付けるものがとっても弱い・・・マクダフ@「マクベス」なんかはぴったりで不満はなかったんですけどね^^! ドン・カルロはお初だったということですし、まだ成長・脱皮するのかしら? 兄さんのペーター・ドヴォルスキーはスロヴァキアオペラの来日公演で見たのですが、存在感はやはり段違いだったと思います。今回のソリストたち、みなさんすらりと背が高いのですが、中でもテノールが、一番長身でした。バスの妻屋さんとは、ほぼ同じかも・・・

ロドリーゴ:マーティン・ガントナー
もちろんというか、ブルゾンには及ばないけど、魅力的なロドリゴでしたね。ベックメッサーとはしっかり別人になってましたし。P.ホフマンと同じカールスルーエで学んだということだから、贔屓にしちゃおうっと....^^;

エリザベッタ:大村 博美
蝶々夫人もよかったけど、ドレスも似合うし、王妃さまに見えました。多少ぎこちない動きもあったけど、全体的に美しいシルエットが魅力的でした。最後のアリア、とても感動的でした。すらりと背が高く、しっかりとした体格なのが、他の歌手と対になったときも美しく、見ていて気持ちがいいです。

エボリ公女:マルゴルツァータ・ヴァレヴスカ
美貌を呪っても違和感がないエボリ公女でした。清純なエリザベッタとの対比もはっきりしてよかった。

宗教裁判長:妻屋 秀和
長身を半分に折り曲げての熱演。陰険で恐ろしい狂信的権力者振りが伝わってきました。

修道士:長谷川 顯
最初に心地良い大声を聴かせてくれました。

テバルド:背戸 裕子
まあ、いかにものお小姓ですが、仕方ないわね。

天よりの声:幸田 浩子
赤ん坊を抱いた女の姿で登場。善良な民衆の良心の声ってところかしら。

関連記事:NHKで放送
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ふくろう

やっぱり日本では公演が沢山ありますね!
バンクーバーでは11月から新シーズンが始まります。
始まりは「マクベス」で夫人役はイーグレンです。

このHP、やっと入れた!(^^;
by ふくろう (2006-09-15 12:11) 

euridice

ふくろうさん、入れてよかった^^!
>バンクーバー
シーズン開始、ずいぶんゆっくりなんですね。

>「マクベス」で夫人役はイーグレン
動かざること山の如し(^^;;; は外見だけで、
心はけっこう脆いんですよね・・・
バーナムの森も動いちゃうわけだし......
by euridice (2006-09-16 20:49) 

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ドン・カルロ@新国立劇場(谷中オペラ日記 2006-09-19 06:56)

 帰国してすぐに学会のシンポジウムに参加、一日休んで新国立劇場のドン・カルロに出かけた。会場で、昨年パリのルサルカで偶然となりになった方と再会、ロンドンの某所から帰国なさったとのこと・・さらにオペラ放浪記の原田さんとも再会した。彼によると、歌手がだんだん....

新国立劇場『ドン・カルロ』(2006年9月10日、新国立劇場)(オペラで世間話 2006-09-16 22:27)

【なぜ『ドン・カルロ』で開幕なのか】  新国立劇場2006/2007シーズンの開幕公演『ドン・カルロ』、鑑賞した結果、評価に悩みましたが、私は、良しとする立場を取ることができるかな・・・と思いました。  新国立劇場では、2001年12月にヴィスコンティの原演出による『ドン・カルロ』を公演…[続く]

『ドン・カルロ』(ミラノ・スカラ座)(orfeo.blog 2006-09-15 10:41)

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新国シーズン開幕:《ドン・カルロ》新演出(keyakiのメモ、メモ......... 2006-09-14 22:25)

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